Dream-ソノタ

□一緒にお寝んね!
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部屋で寝ていると、廊下を歩く気配に目が覚めたのだ。
それが、恭弥のものと気付いたために何もしなかったが、一向に部屋に戻る様子はなくトイレの近くで立ち止まっているのが気になって見に来たのだ。
…弁解するが、気になったのはウロウロする気配で眠れなかったためだ。


「ねーね、ありがとっ」


その恭弥はと言うと、大好きな姉に不器用ながら優しい手で頭を撫でてもらってにっこりと微笑んだ。
さっきまで泣いていたのに次の瞬間には笑顔で、コロコロ変わる表情に少女は無意識に微笑した。


「わぁ〜」


「…何?」


その初めて見る姉の綺麗な微笑に恭弥は目を輝かせた。
漸く見つけた自分だけの宝物みたいに、嬉しくて恭弥はとろける様に笑った。


「んーん!だいすきなの、ねーねっ」


「…そう」


自分から離れようとしない恭弥に息を吐いて、少女は仕方なく抱き上げて恭弥の部屋へと向かった。


「……ところで、その寝間着は何?」


「う?まーまがね、これきなさいって」


「………そ」


猫のパジャマ、と言うより着ぐるみに近い寝間着。
ご丁寧に猫耳付きのフードをかぶる恭弥に少女は再び息を吐いた。
何を考えてるんだ、あの母親は。

そして、部屋に運ぶ間にコテン、と恭弥は少女の肩に頭を預けて寝息をかけ始めた。


「ちょっと……?」


「…スー……」


離そうにも強く服を握っているため、無理に離したら起きてしまうだろう。
流石に、そこまで墜ちた人間でもない少女は息を吐いて、そのまま恭弥の布団の中に潜り込んだ。


「…、………」


気配に敏感な自分が、眠れるはずがない。
だが、腕の中の暖かく丁度良い体温に欠伸を噛み殺す。


「んー……ねー、ね……」


ふにゃ…と眠りながら笑う恭弥を見て、少女は自嘲した。



「……馬鹿らしい」



こんな子供を警戒する必要性はないし、無気力の存在に威嚇する自分が馬鹿らしい。

だから、だ。

この自分が、この子供と一緒に眠るのは。

そんな無駄な言い訳を頭の中でして、少女はウトウトと眠りかける。


その数分後、穏やかな寝息をたてて一緒に眠る姉弟の姿があった。




END
(はじめてね、わらってくれたんだよっ!)
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