Dream-ソノタ
□それはちょっと痛すぎます
2ページ/3ページ
「じゃあ、次は父さんね」
「え?」
敵を倒し終えた恭弥は、引き続きトンファーを構える。
その視線の先は風だ。
「聞いたよ。昔、姉さんを殴ったんだってね」
「……えぇ、私が幼い娘を殴りました」
傷ついていた娘の傷を、更にえぐってしまった。
頬を腫らせて涙を流しながら、狂ったように笑っていた娘の姿は未だに忘れられない。
「姉さんは……不器用で何も言ってくれないけど、僕たちが……家族が大好きなんだ」
「……恭弥」
「だから、父さんのことは殴らないんだよ、だから僕が代わりに殴る」
それがけじめだ。
そう言ってトンファーを手に向かってくる恭弥に、風は笑みを浮かべた。
息子もまた、知らぬ間に成長している。
一家の形が元に戻ったことを感じて風は笑う。
だけど、それはちょっと痛すぎます。
(本当に手加減なしですね、恭弥)(当たり前だよ)