Dream-ソノタ

□それはちょっと痛すぎます
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この話は『蒼と紅の歪んだ絆(仮題)』の未来編……という名の、父との再会編です。


風紀委員のお姉ちゃんシリーズの、別設定です。

風とバイパー(女の子)が両親です。


ご注意ください。









恭弥にとって。
ボンゴレやアルコバレーノのいざこざの関係で十年振りである。

マーモンにとって。
アルコバレーノの交流として意外と数年振りではある。

彼女にいたっては。
あの決別から一度として連絡一つ取っていないため十数年の単位となる。

父である風と再会するのは。

つまり、一家揃うのは十数年振りということになるのである。
ようやく念願の願いが叶う機会に恵まれたというのに、恭弥は苛立ちを隠せなかった。


「一家団欒を邪魔するのなら、容赦はしないよ」


中国のとある山奥。
そこで恭弥は苛立ちのあまり、身体全体に紫の炎をまとっていた。
標的は黒と白の妙な団服をまとった男達である。
現在、アルコバレーノが保有しているおしゃぶりを狙っているというマフィアは……恭弥は名前も覚えていないが……風を狙ってきたらしい。
アルコバレーノの身動きを取れなくさせて、風に攻撃しようとしていた男達にトンファーを構えて、すぐさま突撃する。


「きょう、や?」


突然乱入してきた己の息子を呆然と見ていた風の前に、黒い影が立ちふさがった。


「風!大丈夫かい?」


「バイパー!?」


「今はマーモンだよ」


黒い影の人物の肩から降りてきた妻のマーモンに、風は絶句するしかなかった。
恭弥に続いてマーモンの登場。
更に目の前にいるのは、助けを求めていたはずなのに己が不甲斐ないばかりに傷つけてしまった人。


「……久しぶり」


少しばかり、ばつが悪そうに小さく言った声は確かに風の耳に届いていた。
大きくなった、と思った。
美人になった。
立派になった。
自業自得だけれどその成長を傍で見守れなくて、悔しい。
だけれど、何よりも彼女の成長した姿を見られて風は嬉しかった。


「大きくなりました、ね」


「うん、父さんよりもね」


「父と、呼んでくれるんですか、このどうしようもない僕を」


「私の父さんは、貴方だけだよ」


「そう、ですか」


「うん」


「……ありがとう、ずっとすみませんでした、私の愛しい娘」


目の奥が熱くなる。
年は取りたくないものですね、と風は思った。
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